大谷翔平はこれからもホームランを打ち続ける。打たせない方法として、ピッチャーが敬遠すればよいだけの話だが、メジャーリーガーの投手はこれを絶対にやらない。奴らはあらゆる戦いに勝利して生き残ってきた戦士たちなのだ。誇り高き戦士たちは、監督の戦略的敬遠サインなど目もくれず己の野球だけをしているのだ。

キャッチャーはしゃがんで球を取るだけのスポーツではない。バッターから最も近い位置に居てはり、そいつの呼吸や仕草、汗の具合、腰の引き締まりなどを身近に感じ、分析し、ピッチャーに「今ならここを狙えと」グローブや指で指示するのだ。そして投手と捕手の間に仲介してくるのが監督の指示だ。

せっかくのバッテリーを打ち壊し、ピッチャーに的確な戦略的指示を出す。それはむしろ遠くから俯瞰していたからこそできる頭を使った指示でかなり的確だが、誇り高きアメリカ人のプライドにはあまり響かないだろう。

当時星稜高校生の松井秀喜が甲子園で５打席連続敬遠を受けた。これは投手の河野和洋氏が経験不足でプライドが低かったのではなく、この頃の野球男児という生命体は監督から異様に洗脳されていたのだ。

こいつ自身も若い頃からあらゆる奴らに勝ってきた、誇り高き戦士の卵であったに違いないが、頭の柔軟な若い頃から監督の熱烈な指令に対し、従順に従って育ってきたから、監督が敬遠を支持すれば自分の意思とは反対的に敬遠する。

相手はバルタン星人でグーを出せば絶対に勝てると脳でわかっているのに、監督が✋と指示すれば無意識に勝手に手のひらは開いていたんだ。

野球をテレビやらで見ている観客らにとって、「なんでここでそれなのよ」と突っ込みたくなることもあるが、画面で俯瞰して見るのと、現場に居てはることは太陽と耳かきくらいまったく違うことなのだ。

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